2020年6月のとある蒸し暑い日。
老将セルゲイ・バルバレスが目覚めたころ、すでに昼食を終えた家族の姿があった。

こんな暑い日は、ついつい昔を思い出す。
そう、2000-2001シーズン、ブンデスリーガ。得点王は他の誰でもない、私だったことを。



その前年1999年に生まれた息子のセルジオ・ルイス・バルバレスが、父の目覚めを待っていたかのように駆け寄ってきた。

「父さん、みてよ!この手紙!なんかスゲぇオーラが漂ってない!?はやく読んでみてよ!」


確かに重厚なその手紙には、ただならぬ雰囲気が感じられた。
セルゲイ・バルバレスは封をあけた・・・。
そこにあったのは、想像を絶する興奮であった。


----------

親愛なるセルゲイ。
久しぶりだね。元気だったかい。
ブンデスリーガで合計75枚のレッドカード、4枚のレッドカードを手にしたカードコレクターの君も、
いまは安らかな生活を送れているのかな?

最近はCOVID-19とかいう、DEATH-13みたいなウイルスが流行していてヨーロッパのサッカーを楽しむ世界中のファンが悲しんでいるよね。
僕としては、この状況はとても許せない。
だから僕は考えた。僕がやるしかないってね。

2020年6月14日。
グラスゴーにあるアイブロックス・スタジアムで待ってるよ。

ロイ・キャロルより。



---------

同封されていたのは家族全員分の飛行機のチケットだった。
セルゲイ・バルバレスは高鳴る鼓動を抑えながら、さっそく荷造りにとりかかった。





実に10数年ぶりとなるRCFAの開幕に、世界は熱狂していた。
DAZNは数百億という契約金で独占放送権を獲得。
スコットランド中のホテルが、このコロナウイルス下にあってもすべて満室となるほどであった。
ロイ・キャロルは絶対神わったの保護により、当日スコットランドにいるすべての人々の安全と健康を保証した。
わったにとって、久々の現世であったがロイの頼みとあっては断るという選択肢は皆無であった。

招待状が届いた選ばれし16チーム。
現役選手としてまさか自分がRCFAの舞台に立てるとは、誰もが夢にすら思わない幸運であった。
招待を受けて涙しない選手は1人もいなかったという。
ロイ・キャロル・フットボール・アソシエイト・クラブチャンピオンシップ2020。
その舞台に立てる幸運は、何にも代えがたいものであるのだ。




大興奮のスタジアムでは、試合開始前に観客の3割が過呼吸で倒れるという前代未聞の事態に陥った。
しかしながら、”絶対神の保証”はそれらの問題を帳消しにし、熱い雰囲気だけを残した。

注目の開幕カード。
RCFA初出場のタイ国ブリーラム・ユナイテッドと、RCFA常連オリンピック・リヨンの1戦だ。



ブリーラムのキャプテン、シワラック・テースーンヌーンは入場の間、涙が止まらなかったという。



また、かつて日本代表で活躍した細貝萌は、ブリーラムからアユタヤFCへと移籍していたが、ブリーラムのRCFA出場の報を聞いて「人生最大の後悔」をするハメになったという。

その開幕戦だったが、やはりRCFAの常連リヨンは巧者だった。
レオ・デュボアの得点を手堅く守り切り1−0で勝利。
ベスト8へと駒を進めた。



続く第2試合。
これまた常連のイタリアの雄、ウディネーゼ。
対するはイエロー・サブマリンことスペインの潜水艦ビジャレアルだ。

かつてRCFAにビジャレアルの選手として出場したことのあるファン・ロマン・リケルメが観客席で見守っている。
隣でほほ笑むのはビンツェンツオ・イアクィンタだ。


イアクィンタにとっても、RCFAの舞台を生で観戦できるのは感動的な出来事であった。
2014年に現役を引退した彼は、2018年にマフィア組織ヌドランケタとの関与により2年の禁固刑を言い渡され、ようやく娑婆に戻ってきたばかりだったのだから・・・。
https://www.afpbb.com/articles/-/3195478

そんな二人の思いとはよそに、白熱した試合はあっという間に終わってしまった。
ケヴィン・ラザーニャのゴールを守り切ったウディネーゼが、こちらも1−0での勝利。
わったは夜ご飯にラザニアが食べたくなったという。


第3試合。屈指の好カードであった。
イングランドから選ばれた2つの強豪が、神様の悪戯(つまりはわったの悪ふざけ)によりはやくも激突することになったのだ。

赤い悪魔ことマンチェスター・ユナイテッド。対するは飴ことチェルシー。
期待とは裏腹に、この試合はスコアレスドローに終わった。
1人気を吐いたポール・ポグバのシュートは惜しくもすべて枠外。
ポグバは語る。
「ジョン・テリーだ。彼の情念が、ゴールからボールを遠ざけた。」
ポグバがそう語りながら思い浮かべていたのは、実はジョー・コールの顔なのだが人の思考ビジョンを読み取れるのもわっただけだったので、誰もそれに気づくことはなかった。

ダミアン・ダフとペトル・ツェフの見守る中、PK戦となり、オリヴィエ・ジルーのゴールでチェルシーがベスト8へと駒を進めた。


第4試合。これまたビッグマッチだ。
RCFAの中では弱小チームであるバルセロナと、これまたイマイチネタチームの域をでないインテルナツィオナーレ・ミラノ。
アドリアーノもカンビアッソも、そしてファバッリもいないインテルは、RCFAには力不足だったのかもしれない。
試合はバルセロナが2−0で勝利。


そして第5試合。スコットランドのライバルチーム、レンジャーズのホームスタジアムでイタリアのリヴォルノを迎え撃ったのはセルティックだ。

2009年に睾丸がんが発見され、生命の危機に瀕しながらも驚異的な快復をみせたジョン・ハートソンの魂を引き継いだ古豪に死角はなかった。
2015−2016シーズンスコットランドリーグ得点王レイ・グリフィスの2ゴールにより、その後リヴォルノWGのマルスラに1点を返されたものの勝利した。

続く第6試合はACミランとアーセナルの1戦。
RCFAの過去の大会に出場したことのある数少ないレジェンド選手ズラタン・イブラヒモヴィッチが圧倒的な存在感を見せつける。
あまりに破壊的なシュートは、幾度となくアーセナルゴールを襲った。
しかしながらそのズラタンの高慢さは、あえてゴールポストにシュートを当てる技術を見せつけるという形で、アセーナルに勝利をもたらした。
イブラヒモヴィッチは、驚異的なミドルシュートを含む合計4本のシュートを、あえてポストにあてて試合を盛り上げ、舞台を去った。

第7試合。
スコットランドからセルティックと共に招待されたのはグラスゴー・レンジャース。

どこかへいってしまった、誰かのチームロゴを思い出してしまうのは仕方のないことなのだろう。
奇しくも、レンジャーズを率いるのは”たけたま”ことスティーブン・ジェラードだ。
対するはロシアのくまさんことCSKAモスクワ。本田圭佑の姿は、もうそこにはない。

レンジャーズは必殺技の”クリーン・フットボール”を惜しげもなく披露。

ホームのアイブロックス・スタジマムの温かいファンの声援につつまれ、ひたすら鳥かごを行い、マンチェスターシティから加入したFWブランドン・バーカーの1点を守り切った。

実にクリーンなフットボールが見られたと世界中のファンが、感動しため息をついたのだった。

ファーストラウンド最後のマッチは、アルゼンチンからボカ・ジュニオルスとオランダからPSVアイントホーフェンの1戦。
観客席から見守るのはもちろん彼、マルティン・パレルモだ。周囲にはアボンダンシエリ、イバーラ、スキアビ、ダニエル・ディアス、バタグリア、ガーゴ、インスーア、ビロス、デルガドと懐かしい面々もいる。
ただし南米から北欧の移動は正直堪えた。特に見せ場もなく、試合はランメルスのゴールを守り切ったPSVが勝利した。





いよいよベスト8。
まずはウディネーゼがリヨンを下す。
サイドから幾度となく精度のないシュートを繰り返したケン・セマがついにウディネーゼゴールを破ったのだ。

必殺技の”心無い天使”は1試合に3度までの相手の致命的なミスを誘発することができる。
実質最強の必殺技なのだ。


続いてはバルセロナvs.チェルシー。
ネタキャラ枠のオリヴィエ・ジルーが強烈なシュートを叩きこむ。
バルセルナは必殺技の”ちょうはつ”が不発。
相手をバーサク状態にすることができるが、逆に相手の怒りを買い大敗する結果となった。


そしてスコットランドの自国開催アドバンテージをもったセルティックはアーセナルとのマッチ。
アーセナルが圧倒的有利かと思われたが、ベルギー代表であり、ロメウ・ルカクのいとこである

ボリ・ボリンゴリ=ムボンボ

が2ゴールを決め、さらにはレイ・グリフィスが加点し、あぶなげない勝利。

ベスト8最後の試合はホームスタジアムなので勝てば何をしても許される雰囲気を追い風にした卑怯な鳥かごが得意なレンジャーズとPSVの1戦。
PSVは失点すれば即ち負けという状況下で、はかなくもコロンビアの若きエース、アルフレッド・モレロスにゴールを許し、その後はまったくボールを触らせてもらえずレンジャーズが勝利。
レンジャーズのボール支配率は70%を超え、PS4のウイニングイレブン2020のトロフィー”ピッチの支配者”が授けられた。
なお、アルフレッド・モレロスはラダメル・ファルカオの後継者とされる有望なストライカーだが、相手選手への肘うちなどで昨2019シーズンは5回のレッドカードを受けている。
セルゲイ・バルバレスのブンデスリーガ通算4枚のレッドカードとは比較にならない暴れん坊だ。
https://www.theworldmagazine.jp/20190401/01world/235385



いよいよRCFAも佳境。ベスト4である。

ベスト4第1試合はウディネーゼとチェルシーの一戦。
ここでも必殺技の”心無い天使”が炸裂。ジルーにゴールを許しこそしたものの、ラザーニャとオカカのゴールで決勝に駒を進めた。

第2試合はスコットランド対決となった。
グラスゴー・レンジャーズとセルティックの1戦は、ホームのレンジャーズが圧倒的有利かと思われたが、
先制点はレイ・グリフィスでセルティック。必殺技の”クリーン・フットボール”発動条件の「リードしている場面」を作りだせないまま、
次々とレイ・グリフィスがゴールを積み重ねていった。

レイ・グリフィス。彼もまた信じがたい苦労を乗り越え、RCFAの舞台に立っている。
前述の2015−2016シーズン得点王に輝いた彼は、栄光におぼれ、そしてギャンブル依存症に陥ったのだ。
https://qoly.jp/2018/12/13/leigh-grifith-taked-an-indefinite-break-kgn-1

終わった選手。5人の子を持つ父親グリフィスは自暴自棄になっていた。
絶望で自らを見失ったグリフィスはミッドランド王国の姫シャルロット王女と姦通、そのことが国王の逆鱗に触れて地下に監禁され、ボリンゴリ=ムボンボは逆賊としてミッドランドから追われることとなった。1年後、ボリンゴリ=ムボンボはセルティックの受難を知り、流浪するセルティックに戻り、王女の手助けを得てグリフィスを牢獄から救出。しかしグリフィスは、度重なる拷問の末に廃人同然となっており、最早セルティックには存在意義すらなくなってしまった。自ら命を絶つことすらできず、絶望に苛まれるグリフィス。その時、真紅のベヘリットがゴッド・ハンドを現世に召喚した。
そしてグリフィス率いるセルティックは必殺技「グリフィス・ロード」を身につけ、特殊な魔術を使用してグリフィスのドリブルゾーンの周囲に侵入不可能のバリアを張ることができるようになり、また、本人のシュートもうまいので完全無欠の脅威となったのだった。

帰ってきたグリフィスの怒りは、レンジャーズの鳥かごを許さかった。




そしていよいよ決勝戦。
イタリア、ウディネーゼのイアクインタか、
もしくはスコットランド、セルティックのグリフィスか。
2人の苦労人のどちらかが救われ、どちらかは堕ちていく運命(さだめ)なのだ。
わったは黒い片翼と、白い片翼を眺めながら、無情なる現世を雲一つない青空に重ね合わせていた。

決勝戦の結果は、マンドラゴーラのゴールとオウンゴールで1対1のまま延長戦をおえ、PK戦へ。
勝利の女神は、ウディネーゼに微笑んだ。

がっくりと肩を落とすグリフィスに、話しかけられるものは誰もいない。
だが、グリフィスの顔に、不思議と曇りはなかった。

RCFAはまた始まった。
そう、これははじまりにすぎないのだ。





RCFA2020

優勝:ウディネーゼ(イタリア)
準優勝:セルティック(スコットランド)
ベスト4:チェルシー(イングランド)
     レンジャーズ(スコットランド)
ベスト8:オリンピック・リヨン(フランス)
     バルセロナ(スペイン)
     アーセナル(イングランド)
    PSVアイントホーフェン(オランダ)
得点王:レイ・グリフィス(5ゴール)
MVP:レイ・グリフィス



※RCFAとは
ROY CARROLL FOOTBALL ASSOCIATES
 伝説の北アイルランド代表ゴールキーパーのロイ・キャロルによる世界最高チーム決定戦